映画【マライの虎】感想(ネタバレ):義賊となった青年の最期の戦い──戦時下マレーを駆け抜けた復讐劇

Marai no tora
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●こんなお話

 イギリス領マレーで義賊として日本軍と一緒にイギリス軍と戦う話。

●感想

 物語の舞台はイギリス領時代のマレー半島。日本製品を密かに購入しようとした華僑の男性が、共産党員の陳に脅され、金品を奪われるところから物語は始まります。

 主人公は、尊敬する特務機関の人物と行動を共にしていましたが、共産党の扇動により現地人が暴動を起こし、その混乱に乗じて主人公の理髪店が襲撃されます。名簿を狙って侵入した陳たちにより、店に居合わせた主人公の妹が無残に射殺され、物語は一気に復讐の色を帯びていきます。

 怒りに震える主人公は、復讐に走ろうとしますが、特務機関の人物に「法で裁くべきだ」と説得され、警察に訴え出ます。しかし、警察は陳をかばい、署長が陳を逃がしていたことまで発覚。激怒した主人公は署長を襲撃し、逃走。世間ではちょうど日本の国際連盟脱退が報じられている時期でもあり、主人公はやがて義賊として貧困層に物資を配る活動を始め、人々から英雄視されるようになります。

 その後、特務機関の人物から日本軍に秘密情報を届ける任務を託されますが、追ってきた陳によってその人物は射殺されてしまいます。激怒した主人公は、ついに陳を追い詰め、銃で討ち取ります。

 情報を日本軍に届けた主人公は、続いてイギリス軍が警備するダムの破壊任務を請け負います。義賊の仲間たちと共に戦いますが、1人、また1人と命を落とし、ついには主人公も戦死。彼の行動は称えられ、日本軍の戦いは続いていく──という結末でおしまい。

 東南アジアのロケ地と思しき映像は、日本色がほとんどないものの、戦時中の時代背景を考えると「どうやってここまでリアルに撮ったのか」と驚かされるほどの完成度。物語の進行はやや急展開で、普通の青年だった主人公が一気にカリスマ的義賊になる流れには戸惑う部分もありましたが、母親が「人のものを盗むなんて」と叱る姿に困る主人公など、印象的な人間ドラマも描かれていました。

 特にクライマックスのダム爆破戦は迫力あるアクションと緊迫感で、見応えのある締めくくりでした。

☆☆☆

鑑賞日:2024/12/01 Amazonプライム・ビデオ

監督古賀聖人
脚本木村桂三
出演中田弘二
南部彰三
上田吉二郎
村田宏寿
押本映治
植村謙二郎
海原鴻
小堀明男
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