●こんなお話
学生生活を送っていたけど、怪奇殺人事件が起こってみんながそれぞれの場所で頑張って世界を救う話。
●感想
前シーズンでそれぞれ別々の場所へと散っていった登場人物たちは、新しい生活の中で懸命に前を向こうとしていた。物語の冒頭では、エルが親しい人々に宛てた手紙を通して、彼らの近況が綴られていく。離れた土地に暮らしながらも、心のどこかでつながっていることを感じさせてくれる導入。マイクは新しい町での生活に馴染もうと努力を重ねており、学校のゲームクラブでは強引なリーダーのやり方に振り回されながらも、自分の居場所を探している姿が描かれます。
そんな中、ある日クラブのリーダーのもとに現れたのは、イケてるグループに属するチアリーダーの少女だった。彼女は何気ない用事で訪れただけのはずだったが、次の瞬間、彼女の体は空中へと持ち上げられ、ありえない方向へと関節がねじ曲がり、目を覆いたくなるような出来事が起こる。物語はここから大きく動き始める。異変の背後にある存在——それがこのシーズンの鍵となる“ヴェクナ”である。
一方、ジョイスは自宅に届いた奇妙な人形の中に、“ホッパーは生きている”というメッセージを発見する。信じたいけれど信じ切れない微妙な心理の中で、彼女は再び事件へと飛び込む決意を固める。電話をかけた先の声は、かつての相棒マレー。彼の手助けを借りて、ホッパーの救出という危険な計画が始まる。
同じ時間軸の中で、物語は並行していくつもの線を描いていく。過去の記憶の中で、エルと“パパ”と呼ばれる研究者との日々が再び呼び起こされ、超能力に関する秘密が少しずつ明らかになる。殺人の濡れ衣を着せられたエディをバスケ部から匿う仲間たち。彼らは裏側の世界からやってくる異形の存在に対抗する術を探りながら、町に広がっていく恐怖に立ち向かっていく。
ホッパーはというと、遠く離れたソ連の収容所で苛烈な環境の中に置かれていた。監視と極寒、言葉も通じぬ地で、彼は脱出の希望を胸にひそかに機会を待ち続ける。救出に向かうジョイスとマレーの冒険は、時にコミカルな軽やかさを交えながらも、確実に胸を打つ展開となっていました。
エルは記憶の旅を続ける中で、自身の力の意味や、なぜ今この危機に直面しているのかを知ることになる。そして、それぞれの場所で仲間たちがヴェクナの攻撃を阻止しようと奮闘する。政府の中でもエルの扱いを巡っての対立があり、彼女を守るための警護がつけられる。だが、その警護部隊は軍の襲撃を受け、そこで描かれる銃撃戦は息もつかせぬ緊張感に満ちていました。負傷しながらも少女の居場所を語らぬ兵士の姿に、命をかけた守りの美学が垣間見えます。
今シーズンで最も印象に残ったのは、新キャラクターのエディです。ヒーローぶるでもなく、どこか偉そうな態度を取ることもある彼でしたが、逃げてしまったことへの後悔を胸に、次第に責任感に目覚め、仲間のために行動する姿へと変わっていく。その変化がとても自然で、見ているこちらの心をつかんで離さない。ピザ屋で働くアーガイルの存在もまた、作品にいいリズムを与えてくれました。登場するたびに場が和らぎ、物語のバランスをとるうえで欠かせない存在となっていると思います。
ソ連の収容所での絶望的な状況も、時折見せる人間らしさやちょっとしたユーモアによって、過度に重くなりすぎず、観る者に程よい緊張と緩和を与えてくれました。
エルとヴェクナの対決は、お互いの手のひらを突き合わせるような超能力の応酬で、物理的なアクションの派手さよりは、精神のぶつかり合いとしての演出が中心となる。最終話では、仲間たちがそれぞれの場所で同時に作戦を実行するが、その流れが細切れになってしまっている印象も受けました。愛の告白で力を取り戻すという展開には、やや戸惑いも覚えるが、それでも気持ちの熱量としては伝わってくるものがありました。
どんな展開があろうとも、このシリーズの魅力はやはり登場人物たちにあって。シーズンの始まりから終わりまで、ずっと彼らのことが好きでいられました。そして最後までその気持ちが揺らぐことなく続いていく、そんな作品でした。
☆☆☆☆☆
鑑賞日:2022/07/18 NETFLIX
監督 | マット・ダファー |
---|---|
ロス・ダファー | |
ニムロッド・アーントル | |
脚本 | マット・ダファー |
ロス・ダファー |
出演 | ウィノナ・ライダー |
---|---|
デヴィッド・ハーバー | |
マシュー・モディーン | |
フィン・ウルフハード | |
チャーリー・ヒートン | |
ミリー・ボビー・ブラウン | |
ノア・シュナップ | |
マヤ・サーマン=ホーク | |
ゲイテン・マタラッツォ | |
ケイレブ・マクラフリン | |
セイディー・シンク | |
デイカー・モンゴメリー | |
プリア・ファーガソン | |
ジェイミー・キャンベル・バウアー | |
エデゥアルド・フランコ | |
ロバート・イングランド |