●こんなお話
向こうの世界のオリビアがやってきて、こちら側のオリビアが向こう側に行ってしまって……。というところから始まる話。
●感想
前シーズン終盤で並行世界へ渡ったオリビア・ダナムは、到着直後にウォルターネイト率いる国防省に拘束される。彼女は拘束施設でコーテキシファン実験に関する偽の記憶を繰り返し見せられ、自分がこの世界のオリビアであると信じ込まされる。周囲にはリンカーン・リーや生存しているチャーリー・フランシスが存在し、彼女はフリンジ部門の捜査官として事件解決に参加させられる。
一方、こちら側の世界では並行世界のオリビア、通称フォリビアが入れ替わり、何食わぬ顔でフリンジ・チームに潜入している。フォリビアはウォルターネイトの指示で機密情報を送り続けながら、ピーター・ビショップと恋人関係になる。二人は同棲し、信頼関係を深めていく。ピーターは違和感を抱きながらも正体を見抜けない。
並行世界のオリビアは捜査を続ける中で、記憶の矛盾や周囲の反応に疑問を抱く。ブロイルズ大佐の協力を得て自分が別世界の人間である可能性に気づき、洗脳の影響から徐々に解放される。彼女は装置を使って元の世界へ帰還する。
フォリビアは正体が露見し、帰還装置で自分の世界へ戻る。その直後、本物のオリビアが戻るが、ピーターは彼女とフォリビアの違いを見抜けなかった事実に苦しむ。二人の関係はぎこちないものになる。
並行世界ではフォリビアがピーターの子を妊娠していることが判明する。ウォルターネイトはその子を戦略的に利用しようと考えるが、フォリビアは母親としての感情を抱き始める。しかし妊娠は維持できず、流産という結果に終わる。
物語は両世界で起こる異常現象を並行して描く。建物の崩落、空間の裂け目、自然法則の崩壊。ピーターの存在が世界崩壊の中心であることが明らかになる。ウォルターはかつて病死した息子を救うため、並行世界からピーターを連れ去った。その行為が二つの宇宙に亀裂を生んでいた。
後半ではドゥームズデイ・マシンが核心となる。この装置はピーターにしか起動できない仕組みになっている。ウォルターネイトは自分の世界を守るためピーターを奪還しようとし、両世界のフリンジ部門は一時的に協力しながらも緊張関係を保つ。
最終局面でピーターは装置の中枢に入り、自らを媒体にして二つの世界を接続する決断を下す。破壊ではなく橋渡しという選択を行い、崩壊は停止する。しかし代償としてピーターは時間軸から消失する。
装置が停止し世界は安定するが、オリビアもウォルターもピーターを記憶していない。観測者が「ピーターは存在したが、今は存在しない」と語り、改変された新たな時間軸が示される。ピーターのいない世界で物語は新たな局面へ、でおしまい。
今シーズンは摩訶不思議なフリンジ・サイエンス事件も発生しますが、軸となるのは明確にこちら側と向こう側の攻防です。二つの世界を交互に描く構成がテンポを生み、緊張感を持続させます。
特に大きな比重を占めるのがオリビアの入れ替わりと恋愛の問題です。フォリビアとピーターが関係を深めていく描写は想像以上に丁寧で、心理の揺れが長く描かれます。本物のオリビアが戻った後の気まずさも含め、人間関係のドラマが中心に据えられています。
向こう側のオリビアにも婚約者がいるにもかかわらずピーターへの感情が揺らぐ展開や、寄生虫事件で命の危機に陥るエピソードなど、緊迫した状況の中に感情ドラマが絡み合います。緊張と切なさが同居する場面は独特の味わいがありました。
そのため科学事件が背景に退く回もありますが、物語全体の厚みは増しています。後半になると意識世界への突入がアニメーションで表現されたり、未来世界の断片が描かれたりと演出の幅も広がります。
そして最終話の急展開。ピーター消失という大胆な決断は衝撃的でした。存在そのものが消えるという結末は大胆で、続きが気になって仕方がありません。ピーターという存在の重さを改めて感じさせるシーズンでした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2014/02/22 DVD 2026/03/03 U-NEXT


